エッセイ『旅の途上の』

知の流れにまかせるまま異国にたたずんでいると知が騒ぎます。何かと出くわして衝撃を受けることによって知が身体をつたいます。でも、知のにじむような旅の向こう側には知のしたたる至福が待つので知しぶきを浴びたり異郷者として通過儀礼的に生き知を吸うことは厭わないです。旅人の知は争えません。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

見せると見るの隙間 

旅の途上は見せたい側の供給と見たい側の需要が出会うマーケットではなく、見せたい側の見せたくない闇と見たい側の見たいとは思ってもいなかった闇が思いがけずに共鳴し合うオアシスなのです。 異国の様々な土地で伝統的生活を堅持する人々と出会いました。…

地図を歩く/街を読む

旅の途上のマカオでは道しるべとなるカジノに導かれるままにこの都市国家のロジックを身体化させれば地図は全く不要となるのです。 立ち並ぶ老舗カジノホテルはどれもが派手な装飾を施しながら闇と誘惑に人々をいざないます。夜空を焦がすカジノのネオンは密…

名も無き場所で

旅の途上の何でもない場所は何でもない場所であるがゆえに名も無き場所です。 例えば、切り立った岩肌に囲まれた畑で育つ緑色した作物が薄い帯のようなものを織り成していて、そこを通り抜けて川を渡り、急な山の側にしがみつくように敷かれた未舗装の道路を…