エッセイ『旅の途上の』

知の流れにまかせるまま異国にたたずんでいると知が騒ぎます。何かと出くわして衝撃を受けることによって知が身体をつたいます。でも、知のにじむような旅の向こう側には知のしたたる至福が待つので知しぶきを浴びたり異郷者として通過儀礼的に生き知を吸うことは厭わないです。旅人の知は争えません。

旅の途上の故郷的なもの

郷愁の誘惑

旅の途上で駆られた旅愁は忘れかけていた郷愁のページをめくって故郷喪失の序章を読み進むことへと導くのです。 旅の途上で吸い込んできた旅情は無意識のうちに旅愁という名の哀しみと郷愁という名の懐かしさを膨らませます。通りを見下ろす大きなステンドグ…

旅する故郷

旅の途上で異郷と故郷を交錯させながら旅人がようやく辿り着いたのは旅する故郷でした。 故郷を後にして、隔てた時の空間を張り裂けるほど膨らませながら異郷を探し求める苦悩の旅人が、必死にもがきながら自分の故郷から解き放たれようとしていましたが、旅…