エッセイ『旅の途上の』

知の流れにまかせるまま異国にたたずんでいると知が騒ぎます。何かと出くわして衝撃を受けることによって知が身体をつたいます。でも、知のにじむような旅の向こう側には知のしたたる至福が待つので知しぶきを浴びたり異郷者として通過儀礼的に生き知を吸うことは厭わないです。旅人の知は争えません。

旅の途上の動きのあるもの

進行形の誤謬

旅の途上の変遷とは、動きのない客体(object)を幾つも発見し続けることではなく、動きを伴った主体(subject)が幾つもの発見をし続けることにあるのです。 たくさんの風景という作品を見ることに大きな価値を見出そうとすると、どうしても目の前で見てい…

一所懸命な空間と一生懸命な時間

旅の途上のあらゆるものが「一所懸命」から「一生懸命」となりました。かつては空間に命を懸けていた人々は今では時間に命を懸けるのです。 はるか昔、人々が「一所懸命」に労働に従事していた頃、彼らは場所に縛られていました。ゲルマン民族が大移動してヨ…

カオスとコスモスの対話

旅の途上で異邦人らの居場所を演出する異空間は、構造的な社会やネットワークの隙間に入り込んで亀裂や隙間を作りながら異文化を培養させます。 周囲と比べて異なるものは、音や匂いや風貌もしくは内面の輝きのみならず劣悪で毒性の強いものであったとしても…