エッセイ『旅の途上の』

知の流れにまかせるまま異国にたたずんでいると知が騒ぎます。何かと出くわして衝撃を受けることによって知が身体をつたいます。でも、知のにじむような旅の向こう側には知のしたたる至福が待つので知しぶきを浴びたり異郷者として通過儀礼的に生き知を吸うことは厭わないです。旅人の知は争えません。

旅の途上の感覚的なもの

香りのパンデミック

旅の途上の豊穣な「匂い」もしくは「臭い」または「香り」は、歪んだ時空を潤沢に演出しきっていました。 すべての香りは匂いを放ち、良い「匂い」と悪い「臭い」という主観的な審判が下されるまでは永世中立的な匂いであり続け、その多様な富は全人類に分配…

見ているものに見られる

旅の途上では「何を」見るかではなく「どうやって」見るかが要請され、今そこの生きられた経験に恋に落ちるように誘導され、見ているものに見られ、聞いているものに聞かれ、話しているものに話されることが喚起されるのです。 ようやく辿り着いた宿場町で観…